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【感想・あらすじ】ナラタージュ|島本理生

※ネタバレあり

おとなしめな子の情熱的な恋愛

主人公の泉と、泉の高校時代の先生「葉山先生」はお互いに思い合っているものの、葉山先生が抱えるとある事情ででうまくいかず、、という話。

泉はとにかく純粋で一生懸命先生に尽くそうとしている。

この人からはなにも欲しくない。ただ与えるだけ、それでおそろしいくらいに満足なのだ。

とか言っちゃうくらい。20歳そこそこでこの台詞が出てくるってすごい。

泉が先生に恋心を抱くきっかけが、高校3年生のときにクラスで浮いてしまっていた泉を先生が気にかけて守ってくれた、ということなんだけど、こういうちょっとおとなしめの子が実は情熱的な恋愛をしがち。な気がする。

相手はダメおとこ

そして、相手役の葉山先生がだめなやつである。

  • 泉だけ特別扱いして学校で噂になっちゃう。

  • 泉の卒業式にキスしちゃう。一応先生と生徒やん。

  • 奥さんとは「別れた」て言ってたのに、実は別居中で籍は抜いてない。

という感じ。

実は奥さんは執行猶予中で、 姑(先生の実母)と同居→姑と奥さんの関係がうまくいかず→奥さん精神的に追い詰められる→姑が家にいるときに放火、という結構だいぶヘビーな理由。

精神的にやられていた先生も、自分のことを頼りにして好意を寄せてくれる泉に救われていたんだ、と思われる。それなのにどうして泉と先生はうまくいかなかったのかなぁ、奥さんに罪悪感はあるだろうけどそれでもなぁ、と思ってしまう。

ただ、こういう登場人物たちが島本理生さんのこざっぱりした文体で描かれていて、重い感じが全然ない。思ったことをストレートに伝えているのもよい。

ナラタージュ (角川文庫)

ナラタージュ (角川文庫)