1 Min. Book Reviews

1分で読める書評ブログ

AIがベストと判断したSF小説─『ザ・サークル』

ザ・サークル

ザ・サークル

以前読んだ『ベストセラーコード』でAIが選んだベストな1冊がこの本だった。実際、売れているらしく映画化もされている(エマ・ワトソン、トム・ハンクス主演、日本公開は10月)。気になって読んだ。

Googleの資金力、FacebookのSNS、AmazonのEC網、Appleのプロダクト力みたいなヤバイ会社「サークル」の中でのお話。過剰なテクノロジーの進歩や過度なソーシャルのつながりっていかがなもんでっしゃろ?という問題提起をしている作品(たぶん)。

すべてが正確にトラッキングできるカスタマーサポートシステムとか、究極のマッチ度を誇るデーティングアプリとか、2年間受電なしで8K品質の動画を配信し続けるカメラとか、いろいろぶっ飛んでるモノが出てきますが、あと20-30年したら実際に出来てきそうで微妙に怖い。SF度絶妙。

発明ってのは望む・望まないに関わらず不可逆なものだなあというのをすごい思った。ケータイを作ったら休日にうざい上司から電話がかかってくるようになるし、SNSが発明されればうっとしいと思いながら上司の投稿にいいね!をしないといけないのですよね。なんかすごい上司に悩まされてるみたいですけどそんなことないですよ。原爆とかも作っちゃたら使っちゃうしね。

高校(高専)生のとき技術倫理って授業があって、技術者にはパターナリズム(父親のように考え本当には発明するべきかどうか考えること)が必要だって習いました。そんなことを思い出した一冊。

AIがベストだと判定したということでえらく期待して読んだのだけど展開がダラダラしていてあんまりだった。ベストセラーコードに書いてあった「テーマに一貫性があり、ストーリー(プロット)にメリハリがあって、読みやすい文体で、主体性のあるキャラクターが主人公である」という条件にはまあまあマッチしている感じもあったのだけど、やっぱり翻訳が入るとダメなのかも感?読む価値はある。